ヘアカラーの科学 調査・データ

泡タイプは傷む?

泡タイプの白髪染めのボトルを前に、毎回泡で染めていることが気になっている女性

泡タイプの白髪染めは、手でもみこむだけで染められて、楽ちんで人気ですよね。

でも、ネットでは「泡は傷む」という話をよく見かけます。

「泡って、やっぱり傷むの?」「このまま使い続けて大丈夫?」「傷まなかったって言う人もいるけど、どっちが本当?」

調べてみると、「傷む」と「傷まない」、両方の声があるのは、みんなが見ている視点が違うからだと分かってきました。

噂の真相を、白黒はっきりさせます。

使った人の「傷んだ」「傷まなかった」

実際に泡を使った人は、傷んだのか傷まなかったのか。

泡を使った人の声を集めると、「傷んだ」「きしんだ」という声が13件、「傷まなかった」「きしまなかった」という声が12件ありました。ほぼ同じ数です。

※協会調べ 2026年9月/口コミ・美容師・メーカーの発信194件を集計

泡タイプに対する世間の声の件数(協会調べ・194件を集計)

同じ泡なのに、答えが2つに分かれるのはなぜでしょうか。

「傷まなかった」の意見には、染めた直後の人の声が多くあります。12件の多くは、通販サイトのレビューなど、購入者のコメントです。

「傷んだ」の意見には、全体染め(根元から毛先まで、髪全体に塗って染めること)を繰り返したあとの声が多くあります。

泡を使った人の声は、染めた直後の髪では「傷まなかった」、全体染めを繰り返したあとの髪では「傷んだ」の2つに分かれる

美容師の「傷む」とメーカーの「傷まない」

では、美容師やメーカーなど、髪にくわしい人たちは、泡をどう見ているのか。

美容師は「泡は傷む」と言い、メーカーは「傷まない」と言っています。ここでも答えが分かれます。

美容師が挙げる泡が傷む理由

美容師は泡が傷む理由を、薬の中身と塗り方の両方で説明しています。

美容師は、泡が傷む理由を薬の中身と塗り方で説明している

泡が傷む理由は、ボトルに入っている薬の中身の話と、毎回髪全体に塗るという塗り方の話の2つです。

  • 泡を立てる成分 —— 泡を立てるための成分(界面活性剤)が多く入っている
  • 薬の強さ —— 薬が強い
  • 毛先 —— ここだけ塗る、という塗り分けができず、毛先に薬が重なる
  • トリートメント —— トリートメントの成分を入れられない

協会の調査では、泡を立てる成分(界面活性剤)は、泡にもクリームにも入っていて、量は商品ごとの配合しだいです。泡だけが多いわけではなく、製造元のメーカーも「泡のほうが多い」と言える数字は出していません。

白髪染めで髪が傷む主な原因は、界面活性剤ではありません。髪を傷める主な原因は、薬の中に入っているアルカリと過酸化水素という成分(髪の色を抜いて、染料を発色させるためのもの)です。繰り返し染めることで蓄積し、髪の傷みを感じる原因になります。

メーカーが言う「傷まない」の意味

メーカーの「傷まない」は、泡なら髪が傷まない、という意味ではありません。泡もほかのタイプも差がない、つまり「泡だけが傷むわけではない」という意味です。

メーカーは、クリーム・乳液・泡・ワンプッシュタイプの成分は同じと説明している

差がないというのは、クリーム・乳液・泡・ワンプッシュタイプは出てくるときの形が違うだけで、中身は同じということです。泡とほかのタイプで、成分に大きな違いがないと明言しています。(協会の調査でも、界面活性剤はクリームタイプのほうが多い配合例も見受けられました)

同じ泡の話なのに、美容師とメーカーで答えが反対になるのは、なぜなんでしょう。

3つの声はどれも間違いではない

使った人・美容師・メーカーの答えは、どれが本当なのか。3つの声を並べると、それぞれ見ている所が違います。

使った人は自分の髪の手触りを見て「傷んだ」「傷まなかった」、美容師は薬の中身と塗り方を見て「傷む」、メーカーは薬の中身を見て「傷まない」と答えている

使った人

使った人は、薬の中身のことも塗り方のことも言っていません。言っているのは、自分の髪の手触りだけです。

美容師

美容師は、薬の中身と塗り方の両方のことを言っています。

薬の中身については、メーカーと答えが分かれます。美容師の節で見たとおり、ここはメーカーの「中身は同じ」が正しいと言えます。

塗り方のことを言っているのは、美容師だけです。塗り方の話としては、美容師の「傷む」が正しいと言えます。

メーカー

メーカーが言っているのは、薬の中身のことだけです。塗り方のことは言っていません。

だから、3つの声はどれも間違っているとは言えません。

3つの声に共通していることは何かを考えてみると、それは「泡」という形です。

メーカーの意見では「泡をもみこむことで髪全体にいきわたるので、見えない後ろや内側なども染め残しなく染められます」「長めの髪でも全体をムラなくラクに染めることができます」とあります。

美容師の意見では「泡カラーは髪全体に塗りやすい」とあります。

使った人の意見では「全体的にはなじんでムラには見えません」「泡タイプなのでとても使いやすく、初心者でもムラなく簡単に染めることができました」とあります。

メーカーの「泡をもみこむことで髪全体にいきわたる」、美容師の「泡カラーは髪全体に塗りやすい」、使った人の「ムラなく簡単に染めることができました」が、泡は髪全体に行きわたりやすいという1つの答えに集まる

3つの声がそろって言っているのは、泡は髪全体に行きわたりやすいということです。

泡タイプは、そもそも髪全体に塗る使い方をするものです。メーカーの意見は、泡で全体を染められることは伝えていますが、毎回全体に塗るかどうかまでは言っていません。

しかし、泡という形を使えば、毎回全体染めになりやすくなります。

全体染めそのものが、髪を傷めるわけではありません。はじめて全体を染める1回で、大きく傷むわけではありません。

髪が傷むと感じるのは、毎回全体に塗って、すでに染まっている髪に薬が何回も重なることです。これが、「泡が傷む」と言われている大きな原因の1つではないかと考えられます。

泡タイプを毎回使うと髪に何が起きるか

毎回全体染めになると、髪には何が起きているのか。

市販の白髪染めは、根元の白髪を染める強さで作られていることが多いです。そのため、毎回髪全体に塗ると、繰り返し染めて傷んだ毛先に薬が重なり、染めるたびに髪が傷みやすい状況になります。

全体に同じように泡タイプの薬がついたとき、髪全体に何が起きているのか、図で確認してみてください。

泡で毎回髪全体に塗ると、根元では白髪の染まりが弱くなることがあり、毛先には繰り返し染めることでダメージが蓄積していく

泡タイプを使うと、根元と毛先で髪の傷みがすでに違っていても、泡は髪全体に同じようにつきます。

根元を染める強さの薬でも、泡で髪全体に行きわたると働きが分散して、根元での働きは少し弱まると考えられます。

弱まるといっても、やさしい薬になるわけではありません。薬の強さは変わらず、その働きが全体に分散するということです。

①泡は、クリームのように根元にとどまって白髪を包み込むことが苦手です。そのため全体に塗ると、根元の白髪の染まりがクリームより弱くなることがあります。

②そして繰り返し染めることで、毛先には髪のダメージが蓄積していきます。

(液体やクリームなど、ほかのタイプでも、毎回全体に染めれば②のダメージの蓄積は同様に起きています)

一般社団法人 日本セルフカラー協会
協会の調査〜泡タイプと髪の傷みについて〜

泡の中身は
ほかのタイプと同じです。
傷むかどうかは
塗り方で決まります。


塗り方とは、毎回の全体染めのことです。協会は調査の結果、以下の3点から、このように定義しています。
・根元の白髪は、泡の形では薬がつきにくく、染まりにくい
・全体を染めるときは、泡が向いている
・毎回泡で全体に塗ると、傷みの原因になりやすい

「泡タイプ」の傷みにくい使い方

泡の楽ちんさは手放したくない。でも、毛先は傷ませたくない。

そのためにできるのは、全体染めの回数を、できるだけ減らすことです。

髪全体をまとめて染めたい気持ちは、そのままでかまいません。

はじめて全体を染めるときは泡で全体を染める、根元が伸びてきたときは根元だけクリームで染める、毛先の色が抜けて明るくなってきたときはカラーシャンプー・カラートリートメント・ヘアマニキュアなどを使う

①はじめて全体を染めるとき

はじめて髪全体を染める1回目は、髪がすべて健康な状態なので、泡タイプが向いています。

②根元が伸びてきたとき

伸びた根元だけを塗り直すことを、リタッチといいます。

毛先はもう染まっているので、そこに薬を重ねずにすみます。泡は根元だけをねらって塗るのには向いていないので、根元にはクリームが合っています。

③毛先の色が抜けて明るくなってきたとき

毛先の色が抜けて明るくなってきても、それだけのために全体染めをする必要はありません。全体染めのほかに、カラーシャンプー・カラートリートメント・ヘアマニキュアという手もあります。

泡タイプは傷むのか、傷まないのか。今回の調査で分かったことをまとめます。

泡タイプの成分そのものが、髪の傷みに直結しているわけではありません。ただ、泡タイプで想定される使い方を続けると、傷みを感じやすい傾向があります。

泡タイプは、髪全体に塗りやすい形をしています。だからこそ、根元の白髪を染めたいだけのときでも、気づけば毛先まで全体に泡をもみこんでいることが多くなります。

泡タイプの楽ちんさは、そのままでかまいません。

もし髪の傷みが気になったときは、①〜③の使い方を参考に、一度試してみてください。

-ヘアカラーの科学, 調査・データ