白髪染めを選ぼうとして、種類の多さに手が止まったことはないでしょうか。クリーム、泡、トリートメント、マニキュア。同じ「白髪染め」と書いてあるのに、形も値段もまちまちで、どれを手に取ればいいのか決めきれない。ひとつずつ説明を読んでも、読み終わるころには、最初の製品のことを忘れている。
名前をひととおり知れば、自分に合うものが見えてくる気がする。けれど、調べれば調べるほど名前が増えていって、かえって遠ざかった。そんな感覚はないでしょうか。
白髪染めにどんな種類があるのか。ひとつずつ見ていきましょう。
白髪染めタイプの見極め方
たくさんあるように見える白髪染めも、世の中の説明では、たいていふたつの見方で分けられています。染めた色がどれくらいもつかと、どんな形をしているか。まずは、その分かれ方を見てみましょう。
色持ちで分ける
ひとつめは、染めた色がどれくらいもつか。これで白髪染めは、大きく3つのグループに分かれます。

いちばん長くもつグループは、「永久染毛剤」と呼ばれることがあります。染めた髪はそのままでも、髪は下から伸びてきます。1か月もすれば根元に新しい白髪が顔を出しますし、染めたところも、洗っているうちに少しずつ色あせていきます。「永久」が指しているのは、入れた色が洗ってもすぐには抜けにくい、ということ。色そのものが一生続く、という意味ではありません。
ふたつめのグループ、半永久は、髪の表面に色をのせて、洗うたびに少しずつ落ちていくタイプです。毎日のシャンプーで少しずつ染めていくタイプ(カラーシャンプー)も、この半永久のなかまです。1回でしっかり染めるのではなく、洗うたびに少しずつ色をのせていきます。
形で分ける
もうひとつの見方は、白髪染めの形です。同じくらいしっかり染まるものの中にも、クリーム、液体、泡と、いろいろな形があります。

白髪染めの箱の裏には、「1・2剤クリーム」「乳液」のような名前で書いてあることがあります。
名前がわかっても、まだ選べない?
3つのグループも、形のちがいも、ひととおり見えてきました。それでも、結局わたしはどれを選べばいいのか?解決できないときもありますよね。

やさしいカラー剤と、しっかり染まるカラー剤
ひとつめは、どれくらいしっかり染まってほしいか。白髪染めを選ぶとき、多くの方が「できれば髪にやさしいものがいい」と思います。同時に「でも、ちゃんと白髪は隠れてほしい」とも思う。どちらもかなえたい。でもこのふたつ、多くは両立しません。

やさしいタイプは、染まりも控えめ
髪の表面に色をのせるタイプ。カラートリートメントやマニキュア、ヘナなどは、髪の内側をほとんど傷めません。お風呂のついでに続けられて、髪にやさしいのが持ち味です。その代わり、染まり方はおだやかです。

セルフカラー協会が、同じ白髪の毛束で実際に染めくらべてみました。中までしっかり入れるクリームタイプの染まりを10とすると、表面にのせるタイプは5から6くらい。一回で同じだけ染めようとしても、そこまでは届きません。
色を濃くしたいなら、一度きりではなく、まず3回ほど続けてみる。それくらいの心づもりでいると、こんなはずじゃなかった、とがっかりせずにすみます。
これは、やさしいタイプが劣っている、という話ではありません。髪を傷めずに色をのせる作り方を選んだぶん、染まり方がおだやかになる。やさしさと、染まりの強さ。片方を立てると、もう片方がそっと下がります。だから「やさしくて、しかも一回でしっかり染まる」製品を探しても、なかなか見つかりません。どちらを大事にしたいかで、選ぶものが変わってきます。
白髪は、黒髪と染まり方が違う
同じ白髪染めでも、染まり方が黒髪とは違うところがあります。黒い髪と白い髪では、髪の中にあるものが、もともと違うからです。

そのため、黒髪を明るくする感覚で白髪染めを選ぶと、思ったより暗く沈んだり、逆に白髪だけが浮いて見えたりすることがあります。白髪は、のせた染料の色がそのまま出る。そう覚えておくと、仕上がりの見当がつけやすくなります。「白髪用」と書かれたものは、白髪にのせたときにちょうどいい色が出るように作られている、と考えておくと選びやすくなります。
あとで明るさを変えられるか
ふたつめは、あとで明るくしたり暗くしたりに変えられるか、です。白髪染めの中には、これを使ったあとは、ふつうのカラーやパーマをしても思うように変えられなくなるものがあります。次にどう染めたいかへの影響が残りやすい、ということです。書かれていないことが多いぶん、知らずに選ぶと、あとで「こんなはずじゃなかった」につながりやすいところです。

光で染まるタイプ
光に当たって少しずつ染まっていくタイプは、髪を傷めにくく、洗っても落ちにくいのが持ち味です。セルフカラー協会が確かめたところでは、このタイプで染めた髪に、あとからパーマをかけたり、ふつうのカラーをしたりすると、髪が緑がかった色になってしまうことがあります。しかも、その色を元に戻すのが、とてもむずかしい。場合によっては、伸びた部分を切っていくしか方法がなくなることもあります。
当面このタイプで染め続けると決めているなら、もちが良くて手もかからない、頼もしい選択肢です。ただ、いずれパーマや明るいカラーも楽しみたい気持ちがあるなら、そこは知ったうえで選びたいところです。
マニキュアタイプ
髪の表面に色をのせるマニキュアタイプは、髪を傷めにくく、色の種類も豊富です。ただ、表面に色がのっているぶん、そのうえからふつうのカラーをしても、思うように色を変えにくいところがあります。今後しばらく明るくする予定がない方に向いた選び方です。とはいえ、このあと出てくるヘナや光で染まるタイプほど、変えにくさが強いわけではありません。
もうひとつ気をつけたいのは、肌につくとなかなか取れないこと。生え際や耳のまわりについた色は、数日残ることがあります。染めたあとの髪がぬれていると、まくらやタオル、明るい服に色が移ることもあります。塗るときに肌をガードする、染めた日は色移りに気をつける。その一手間で、ぐっと付き合いやすくなります。
ヘナ
植物の葉から作るヘナは、髪にやさしく、続けるとハリやコシが出てくるのが魅力です。ヘナの色のもと(タンニン)は、髪の内側に入り込んで、髪のたんぱくと結びついて絡みつきます。しっかり入るぶん、あとから明るくしようとしても、なかなか抜けません。美容院でも明るくするのがむずかしく、元に戻すのに一年がかりになることもあります。
そのほか、植物そのものの色だけで染める場合は、出せる色が明るいオレンジ系に寄り、好みの色を自由に選ぶというわけにはいきません。独特の香りが残ることや、ヘナを続けた髪はパーマがかかりにくくなることも、先に知っておきたいところです。
そして、やさしいタイプを選ぶときに、もうひとつ知っておきたいことがあります。「天然だから」「やさしいタイプだから」と聞くと、肌にも絶対に安心、と思いたくなります。でも、肌に合うかどうかは、その言葉とは別の話です。
天然色素やオーガニックだから、誰でもかぶれない、というわけではありません。植物そのものの成分や、品質を保つための成分、香りの成分でも、体質によって肌が合わないことがあります。実際に、天然のヘナでかゆみが出たという相談も寄せられています。また、暗い色を出すヘナには、植物だけでなく別の染料が加えられていることもあります。
だから、やさしいと聞いたタイプほど、初めて使う製品では、染める前に腕の内側などで肌に合うかを一度たしかめてみてください。むずかしく考える必要はありません。少しでも赤みやかゆみが出たときは、その製品を使うのを控えてください。
同じ「しっかり染まる」でも、形で染まりやすさが変わる
しっかり染まってほしいタイプの中にも、クリーム、泡、液体と、いろいろな形があります。色がしっかり入るなら、どの形を選んでも同じ、と思いたくなりますが、形のちがいは、根元の白髪の染まりやすさと、塗りやすさに、はっきり効いてきます。


泡は、髪全体にふわっとなじませやすく、塗るのがらくです。その手軽さの代わりに、根元の白髪にはしっかりした量がのりにくく、いちばん染まりにくい形でもあります。薬が弱いわけではなく、狙ったところに必要な量がのりにくい、というのが理由です。
クリームは、こってりしていて広がりにくいぶん、置いた場所に薬がとどまります。だから、伸びた根元や生え際だけを狙って染めるのに向いています。美容院で根元の染め直しにクリームを使うのも、この狙いやすさが理由です。液体タイプは、髪全体になじませやすい一方で、根元だけの染め直しには向きません。
ただ、染まらない原因で多いのは、形そのものよりも、薬の量が足りていないことです。根元にたっぷりのせて、少し長めに置いてみるだけでも、染まり方は変わってきます。
自分に合う白髪染め、見るべきところ
種類の名前を端から覚えるより先に、たしかめておきたいのは、次の3つです。
- しっかり隠したいか、髪へのやさしさを先にとりたいか(やさしいタイプは染まりがおだやかで、何回か続ける前提になります)
- いずれパーマや明るいカラーも楽しみたいか(その気持ちがあるなら、光で染まるタイプはあとで変えにくいことを思い出す)
- 髪全体を染めたいのか、伸びた根元だけを染め直したいのか(全体なら泡や液体、根元だけならクリームが塗り分けやすい)
種類の名前は、覚えていなくてかまいません。それよりも、この3つに、いまの自分はどう答えるか。そこだけ、ゆっくり考えてみてください。