いつもは自分で染めているけれど、大事な予定の前に、久しぶりに美容院にお願いしてみた。——そうして染めてもらったのに、鏡に映った色が、思っていたのと少し違う。あるいは、染めたばかりなのに、2週間もするともう色が抜けてきてしまう。「ちゃんとお願いしたはずなのに、どうして」——そんなふうに、もやもやした経験はないでしょうか。
次はうまく伝えたい。でも、どう言えば伝わるのかが分からない。色のすれ違いは、どうして起きるのでしょう。
「ちゃんと頼んだのに」——どうして思い通りの色にならないのか
伝え方が下手だったのだろうか。それとも美容師さんが聞いてくれなかったのか。犯人を探したくなりますが、実はどちらでもないことが多いのです。理由は、2つあります。


色は、言葉にするのが難しい
「明るめのブラウンで」「落ち着いた感じで」。色を言葉にしようとすると、どうしても曖昧になります。頭の中にある色を、そのまま言葉へ移すのは難しく、しかもその色を次の来店まで正確に覚えておくのも難しい。だから、あなたの思う「明るめ」と、美容師さんの思う「明るめ」が、少しずつずれていきます。ずれたまま染めれば、仕上がりも少しずれる。言葉だけを頼りにすると、ここでつまずきます。
初めての髪は、美容師さんにも読めない
もう1つは、髪のクセです。同じ薬を使っても、髪質によって染まり方は変わります。ある人には落ち着いた色に入る薬が、別の人にはずっと明るく出てしまう——そういうことが、実際に起こります。あなたの髪が「その薬で何色になるか」は、初めて担当する美容師さんには、まだ分かりません。初回は、これまでの経験から予想して薬を選び、調整しています。だから、1回目でぴったり合わないことがある。それは腕が悪いのでも、あなたの頼み方が悪いのでもなく、髪のクセがまだ知られていないだけなのです。

どう伝えればイメージは近づくのか
つまずく場所が分かれば、できることも見えてきます。次に美容院へ行くとき、そのまま使える渡し方です。

色は「言葉」より「画像」で見せる
言葉でうまく伝わらないなら、伝わる形で渡せばいい。いちばん確実なのは、なりたい色の画像を見せることです。スマホで気に入った髪色を探しておく、雑誌の切り抜きを持っていく、「この人のこの色に」とその場で調べてもらう。言葉で「明るめのブラウン」と言うより、1枚の画像を見せるほうが、色はずっと正確に伝わります。頭の中の色を、そのまま目の前に置ける。これだけで、すれ違いはぐっと減ります。
なりたい色より先に、自分の髪のクセを言葉にする
画像で「なりたい色」を渡したら、もう1つ、先に渡しておきたいものがあります。自分の髪のクセ——これまで染めてきて困ったことです。
たとえば、「どこの美容院で染めても、白髪が2週間で色が落ちてしまって困っている」。この一言があるだけで、美容師さんは「では、落ちにくいように気をつけて染めよう」と身構えることができます。
ここで大事なのは、「色が落ちる」ではなく「"白髪"の色が落ちる」と、白髪だとはっきり言うこと。ただ「すぐ落ちる」とだけ伝えると、別の話だと受け取られて、「そうですよねえ」で流れてしまうことがあります。「白髪が2週間で落ちる」——ここまで具体的に言葉にして初めて、気をつけて染める必要が伝わります。
ほかにも、「いつも明るくなりすぎる」「暗く染めると今度は伸びた白髪が目立つ」。これまで困ってきたことを、なりたい色と一緒に先に渡しておく。そこから「じゃあ、どのくらいの明るさにしましょうか」と、一緒に決めていけます。

同じ担当に「3回」期待を込める
それでも、1回でぴったり合うとはかぎりません。髪のクセは、実際に一度染めてみて、はじめて見えてくる部分があるからです。
だからもし、「この人になら任せられそう」と思える美容師さんに出会えたら、1回であきらめず、同じ担当さんに3回、期待を込めてお願いしてみる——そんな付き合い方もあります。1回目より2回目、2回目より3回目と、あなたの髪のことが伝わっていくぶん、色は近づきやすくなります。最初の1回が思い通りでなくても、それは失敗ではなく、二人で近づけていく途中。そう思って任せてみると、気持ちも少し軽くなるかもしれません。
もし頼んだイメージと違ったら
いま、すでに染めてしまって困っている——そんな人もいるかもしれません。
お願いした内容と仕上がりが違ったとき、無料で染め直してくれる美容院が多いです。まずは、染めてもらったお店にそのまま相談してみてください。行きづらければ、少し日をおいてからでも大丈夫。伝えるときは、やっぱり画像と、これまでの経験を言葉にして持っていく。次の一回に、それがそのまま生きてきます。
- なりたい色の画像を、1枚用意しておく
- 困っていることを具体的に言葉にする(例:「白髪が2週間で落ちる」)
- 「この人なら」と思える美容師さんには、続けてお願いしてみる
なりたい色を分かってくれて、あなたの髪のクセまで分かってくれる。そんな信頼できる美容師さんに出会えたら、鏡の前のもやもやは、きっと少しずつ減っていきます。
そして、美容院で分かったあなたの髪のこと——どんな色が入りやすくて、どんなふうに抜けていくのか——は、また自分で染める日にも、そのまま生きてきます。自分で染める手も、ときどき借りるプロの手も、どちらもあなたの髪を知っていくための道。行ったり来たりしながら、あなたと髪の付き合いは深まっていきます。すてきな出会いがありますように、応援しています。