染めたばかりの髪を鏡で見て、「あ、失敗したかも」。そう思ったら、すぐにスマホで直し方を探しはじめますよね。
できれば、美容院に行く前に、自分でなんとかしたい。まずは落ち着いて、順番に見ていきましょう。
失敗したすぐあとにやりがちな2つ
直し方を調べると、「明るくなりすぎたとき」「暗くなりすぎたとき」「ムラになったとき」というように、起きたことごとにページが分かれています。どのページにも直し方が書いてあって、最後はだいたい「気になるなら美容院に行けば、その日に直せる」で終わっています。
どれも、間違いではありません。

ただ、失敗した直後に、いちばんやってしまいがちで、いちばん髪を傷めやすいことが、2つあります。
- 原因が分からないまま、すぐにもう一度染める
- ネットの記事やAIの答えだけを頼りに、直しはじめる
この2つが危ないのには、わけがあります。染めた直後は、自分の髪にいま何が起きているのか、自分でもよく分かりません。それを言葉で言い表すとなると、もっと難しくなります。
ネットの記事もAIも、こちらが伝えた言葉だけを頼りに答えます。その言葉がずれていると、直し方もずれて、髪だけが傷んでしまいます。
いつ染め直せる?
では、「何日たてば染め直していいの?」。よく言われるのは、最低でも1週間、できれば2週間ほど空ける、という目安です。
これは、パーマとカラーを続けてかけるときに「1週間は空けて」と言われるのと、同じ考えです。強い薬を重ねると髪が傷むので、間を空けて髪を休ませます。
この「時間を空ける」が、自分で染める人にはとくに大事になります。理由は、2つあります。
自分で染める人に、時間を空ける意味がとくにある理由
- 髪のため —— 自分では薬の強さを変えられません。だから間を置いて、傷みを避けます。
- 頭皮のため —— 短い間隔で続けて染めると、頭皮への刺激も積み重なります。
美容院なら、頭皮を外して塗ったり、クリームで守ったりできます。でも、自分ではそこまで手が回りません。だから、頭皮のためにも間隔を空けます。
ここまでは、染めるときの頭皮の負担の話です。もし今、頭皮がヒリヒリする・かゆい・赤いといった症状があるなら、色の失敗とは別の問題。まずはやさしく洗い流すのが先です(→かぶれにも種類がある)。
日数だけが、決め手ではありません
日数が過ぎるまで何もできない、というわけでもありません。美容院では、同じ日に直すこともあります。
その差は、原因にあります。美容院は、それを見抜いて薬を弱め、頭皮を守りながら直します。だから、傷みや刺激をおさえて、その日に直せます。
つまり、早く直せるかを分けるのは、日数ではありません。原因が分かっているかどうかです。
だから、2週間も待たずに少しでも早く直したいなら、近道はまず原因を知ること。
原因の話に入る前に、ここでひとつ、引っかかりやすい勘違いを先に外しておきます。
髪を明るくすると傷む。これは、見た目にも分かりやすい話です。明るくするには、髪の中にある色のもと(メラニン)を抜くからです。美容院でも、明るくするほど薬を重ねるので、髪は傷みやすくなります。
ところが白髪染めは、染め上がりが暗い。だから、「明るくしていないのに、どうして傷むの?」と、つい不思議に思えてきます。そしてその「どうして?」は、よく「市販の薬が、よっぽど強いのでは?」という疑いに変わっていきます。
でも、本当のところは少し違います。白髪染めも、じつは黒い髪のメラニンを壊しながら染めています。だから、暗く染まっても髪は傷みます。傷む原因は「市販の薬が強いから」ではなく、「白髪染めそのものが、暗く染まっても、髪の中のメラニンに働きかけているから」。薬の強さのせいに、すり替わっているだけです。
その証拠は、染め直しのときに見えることがあります。もともと黒かったところが色落ちすると、赤みが出やすくなることがある。協会で実際にいくつも染めて見てきたなかでも、これはよく起こります。この赤みは、黒い髪のメラニンが分解されているしるし。「暗く染めても、メラニンは壊れている」ことが、目に見えて出てきます。

そして、「市販の薬が濃いから」でもありません。白髪染め(酸化染毛剤)に使われる過酸化水素は、法律で6.0%以下と決められています。この上限は、市販のものも美容院のものも同じ。市販だから濃い、という決まりはありません。
違うのは、強さそのものではなく、「髪の状態に合わせて変えられるかどうか」です。美容院では、髪の状態を見て薬を選び、生えぎわと毛先で使い分けます。市販のものは、誰が使っても同じように染まるよう、1剤と2剤の組み合わせが決まっています。だから市販は「強い」のではなく、「みんな同じ」。そのぶん、髪の状態によっては、少し効きすぎることもあります。これが、本当のところです。
白髪染め(酸化染毛剤)に使う過酸化水素の上限(6.0%)は、国の基準で定められています。市販とサロンで、この上限に区別はありません。
出典厚生労働省「染毛剤製造販売承認基準」(令和3年6月28日 薬生発0628第7号)どうしてこうなったの?
今の髪を見ても、原因はなかなか分かりません。でも、これまで髪にしてきたことを思い出すと、だいたい見当がつきます。今の髪は、これまでしてきたことの積み重ねだからです。
美容院でも聞かれる8チェック
そこで、思い出せる範囲で書き出してみます。じつはこれ、美容院に行ったときに聞かれることと、ほとんど同じ中身です。
思い出して書き出す8つのこと
- ①いつ、何で染めたか使った薬の種類。すぐの失敗か、あとからか
- ②これまで染めた回数毛先ほど、色もダメージもたまる
- ③パーマや縮毛矯正をしているかパーマは染まりすぎ、縮毛矯正は逆に染まりにくいことも
- ④今回使ったカラー剤今回の仕上がりの、直接のもと
- ⑤最近まで、どんなカラー剤を使ってきたか前に使った色やタイプが、今も残って効く
- ⑥髪質改善や酸熱トリートメントをしたかムラに染まりやすいことも
- ⑦自分の髪の感じ(染まりやすいか・にくいか、赤くなりやすいか、黄色くなりやすいか)元の髪色も、仕上がりに出る
- ⑧前回美容院にいったのはいつ頃かずっとセルフの結果か、美容院の影響か
全部が埋まらなくても大丈夫。書けるところまで書き出すだけで、「どうしてこうなったのか」が、見えてきます。
早く直すか 髪と頭皮を守るか
原因の見当がついたら、次に決めたいのは、「それを、今すぐ直すのかどうか」です。
髪を直すと、髪には必ず、いくらかの負担がかかります。とくに、あわてて上から染め重ねるほど、その負担は大きくなりがちです。
しかも、負担がかかるのは髪だけではありません。短い間隔で重ねれば、頭皮にもかかります。
つまり、早く直すことと、髪と頭皮を守ることは、どちらかを取れば、どちらかを少しあきらめることになります。
だから、確かめたいのは、なんとなくの「どれくらい困っているか」ではありません。
「少し傷んでも、今すぐ直したいのか」。それとも「少し我慢して、次に染めるときから、少しずつ直していけばいいのか」。
「今すぐ直したい」から「まだ待てる」まで。そのあいだで、自分の気持ちが今どちらに近いか、それを確かめます。

そのとき決め手になるのが、ふだんの生活と、今の気持ちです。
「今すぐ直す=かならず大きく傷む」というわけではありません。美容院に頼めば負担は小さくできますし、待てば、時間が助けてくれることもあります。
ここで決めるのは、どちらが正しいかではなく、自分がどちらを大事にしたいかです。
このまま様子見
外に出られるし、そこまで深くは悩んでいない。それなら、急いで染め直さなくて大丈夫です。じつはここに、「今は染めない」という、もうひとつの選び方があります。
濃すぎたり暗すぎたりした色は、日がたつにつれて少しずつ薄くなって、落ち着いてくることがあります。上からあわてて染め重ねるより、時間がたつのを待つ。
今回どうしてこうなったのかが分かって区切りがつけば、それを次に染めるときに生かせます。それで十分なことも、よくあります。
もちろん、待つあいだの1〜2週間、人前でどう過ごすかは気になるところです。帽子をかぶったり、髪を結んだりで乗り切る手もあります。
「待つ」のも、ちゃんとした選び方のひとつです。
直すときの選び方
外に出るのに困る、どうしても気持ちが晴れない。そのときは動きます。ただ、やみくもにではなく、分かった原因をもとにして。
たとえば「今より暗くしてもいいか」「傷んだ毛先を切ってしまえるか」を、ひとつずつ考えてみます。そのうえで、自分の髪の状態や、知っていること、これまで自分で染めてきた経験もふまえて、いちばんよさそうなやり方を選びます。
戻し方の選択肢と、それぞれで起きること
- 今は待つ —— すぐには変わりませんが、その間、髪も頭皮も休ませられます。色も、時間がたてば少しずつ落ち着いていきます。
- 今より暗く染め直す —— 気になる色は隠せますが、染め重ねるぶん、髪は傷みます。
- 傷んだ毛先を切る —— 傷んだところは減らせますが、その分だけ髪は短くなります。
- 美容院に行く —— 確実に直せますが、費用と、お店に行く手間がかかります。
なかでも美容院なら、その日のうちに直せることが多く、髪に合わせて薬を弱めれば、傷みもおさえられます。たしかな強みです。
美容院に行けば早い。それは分かっている。でも、できるなら自分で、なんとかしたい。
美容院という答えだけで、終わりにはしません。家でできることも、やってみて傷むかもしれないことも、理解したうえでどちらを選ぶか、判断の責任が自分にあるのが「セルフカラー」です。
すぐにセルフで直すと決めた人へ
原因の見当がついて、どうしたいかも決まったら、あとは、自分の失敗がどれに近いかで、進み方が変わります。見た目が近いものから、選んでみてください。
よくある失敗と、起きやすいとき
自分のチェックシートの番号を確かめる
染めムラ・しましまは、パーマや縮毛矯正をかけたところに出やすい失敗です。かけたところは、かけていないところと染まり方が変わります。髪質改善や酸熱トリートメントのあとも、ムラになりやすくなります。
暗くなりすぎたときは、色がたまっていることが多くあります。何度も染めを重ねた毛先は色が積もり、パーマをかけたところは薬が入りやすく、どちらも暗く沈みます。前に入れた暗い色が残っているときも、思ったより暗く仕上がります。
明るすぎ・染まらない・思った色にならないときは、逆のことが起きています。縮毛矯正の熱が入ったところは、傷んでいても、かえって染まりにくくなります。前に使ってきたカラー剤の色が残っていると、それにも引っぱられて、思った色になりにくいことがあります。
協会でこれまで多くの髪を染めてきましたが、傷んでいるほど染まりにくい、とはかぎりません。同じ失敗に見えても、原因がちがえば、直し方は変わってきます。
色ではなく、髪の傷みそのものが気になるなら、カラー後のヘアケアの基本をどうぞ。